4回生「傘寿の集い」<朗読文>

「柏葉会4回生・傘寿の集い」

~懐かしい旧友と青春の再会~

「傘寿の祝いばすっけんね、来るやろ。」懐かしい旧友からの電話に「来っさ、いつすっとね」と弾んだ声で答えた。

昭和273月、私たちは菫が丘の佐世保南高校を卒業した。そうして六十年の間に、仲間はブドウのツルが延びていくように日本国中に、世界中に広がっていった。気が付けば傘寿を迎えるのだ。そうして祝いのために、みんなが集まろうというのだ。希望に満ちて卒業したあの頃、傘寿など誰が想像したろう。だが、めでたく傘寿を迎えるのだ。

あの頃、佐世保から東京は遠かった。直通の急行列車が一日に1本。恩師と級友、家族と親類、近所の人たちの見送りで午後4時ごろ佐世保駅を発車、翌日午後5時に東京駅に到着、約25時間で辿り着いた。こうして佐世保を離れた多くの友は、この列車の世話になって広がっていったのだ。そんな時代に南高を卒業したのだ。

時代は変わった。交通手段は新幹線、飛行機、高速道路と多様化し、所要時間も短くなった。その気になれば、いつでも戻って来れる。日本中の多くの場所が日帰り可能だ。

佐世保の街も変わった。いくつかの小学校が廃校になった。菫が丘の校舎も、佐世保駅も、駅前も変わった。駅前にあった旧高女跡の白南風校舎も姿を消した。変わらないのは三浦町の教会と烏帽子岳、それと我々の母校を慕う気持ちと友情だろう。かつての若者も喜寿を過ぎ傘寿を迎え、再び集まるのだー青春の気持ちを持って。

傘寿会には、あのときの仲間が、世界中に広がった仲間が再び戻ってくる。みんな変っているだろう。名前が思い出せないかもしれない。だが心配はない。傘寿を祝いに集まることが出来た仲間の再会を喜びあい、青春を語りあおう。そうして校歌を、応援歌を高らかに歌おう。きっと青春を感じ、青春に戻るだろう。

そうして、傘寿の会を計画、実行してくれた幹事の皆さんに心からの感謝を述べたい。


「青春」

青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。年を重ねるだけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いが来る。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失うときに精神はしぼむ。人は自信と共に若く、恐怖とともに老いる。人は希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。

サミエル・ウルマン(邦訳:岡田義夫)の詩「青春」から抄訳

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